※一部脚色を加え、フィクションとしています。


ある日、当院に1本の電話がかかってきました。
「院長、(とある南米の国の)大使館から電話がかかっています!旅行者がホテルで倒れているので、往診して欲しいとの依頼です!」


当院は浪速区にあります。難波は近所です。
コロナウイルスが流行する前は、外国人旅行者の方が沢山来られている地域でした。
旅行中に調子が悪くなるという事は、人間ですので当然ありうる話です。


よくよく聞いてみると、精神科に通院中の方で、日本に旅行に来る前に薬を自己中断していたとの事です。ホテルで倒れたので一旦救急車を呼んだものの「これは精神的なものだ」と判断され搬送されなかったので、往診に来てくれる精神科医を探しているという話でした。


時刻は夕方17:30であり、精神科医で往診に行く事が出来るのは、近隣では私以外には思いつきませんでした。依頼を引き受け15分の早さでホテルに到着すると、患者さんはベッドに横たわり話しかけても反応がありません。一通り診察を行い、救急隊員の見立て通り精神科的な問題が関係していそうです。
南米の国の言語は、私は話す事が出来ませんが、スマホでのポルトガル語と簡単な英語を使用し、以前から服用していた薬剤を処方しました。


その日はベッドで強直しながら倒れている様子でしたが、翌日にはスタスタ歩行できる様になり、無事飛行機に乗り帰国出来たというお話でした。


ひょっとしてオリンピックの時期や大阪万博の時期に、また精神科往診の依頼が大使館からあるかも知れませんが、スマホの翻訳機があると意外と何とかなるものです。